たかが豆料理されど豆料理
トルコ料理には、豆を使った料理が多い。
よく使われる豆として、ひよこ豆、赤レンズ豆、緑レンズ豆、白いんげん豆、うずら豆…などなど。
煮込み料理にしたり、ペースト状にしてパンにつけて食べるディップにしたり、サラダにしたりと使い方は幅広い。
数あるトルコの豆料理の中でも、「クルファスリエ(Kuru fasuliye)」という料理をご存知だろうか?
白いんげん豆をトマトで煮込んだ、非常にシンプルな料理である。
日本で食べられる料理としては、「ポークビーンズ」がそれに近い。
「ポークビーンズ」は、一般的に豚肉と大豆のトマト煮であるが、トルコではイスラム教徒が大半のため豚肉はNGであるのと、豆は大豆ではなく「白いんげん豆」が定番と決まっている。
鶏肉や羊肉などのお肉が入っている時もある。
この煮込み料理には、必ずピラフ(Pilav)が一緒に添えられる。
家庭料理ではあるが、トルコの大衆食堂(ロカンタ)でも非常にポピュラーなメニューであり、だいたいのお店で食べることができる。
トルコのソウルフード
この料理を「ただの豆煮込みじゃん」と侮ってはいけない。
トルコ人の夫に言わせると、この「クルファスリエ」は、トルコ人にとって非常に大事な料理であるということだ。
クルファスリエは故郷を思い出す味であり、お母さんの味であり、トルコ人の心であり、ソウルフードなのだ。
例えば、上京してきた若者がお母さんの作ったカレーや肉じゃがを懐かしく思い出すみたいな、「おふくろの味」のような料理がこの豆の煮込みなのである。
在日トルコ人も思わず泣き出す
トルコ料理アセナのお店でも、時々この料理は登場する。
トルコ人のお客さんが来た時なんかは、「クルファスリエ」をお出しするととっても喜ばれる。
やっぱり母国トルコを思い出すんでしょうね。
これを食べて思わず泣き出してしまうお客さんもいらっしゃる。
「お母さ〜〜ん」と叫びたくなるんでしょうかね。
日本にいて、トルコが懐かしくなって涙を流すお客さんのことを思うと、この料理にはそんな母国に思いをはせる強力なパワーがあるんなぁと思わされる。
お店用の料理じゃなくても、夫は自分用に「クルファスリエ」を作って毎日のように食べているんだけれど、そんな毎日同じもの食べて飽きないのなかぁと思うよね。
私も「クルファスリエ」好きだけど、食べるのはたま〜にでいいですよ。
トルコ人をおもてなしする機会があり、何を作っていいかわからない時は、この料理を作っておけば喜ばれること間違いなしですね。